宅建 権利関係 第7回 相続のまとめ 2019
こんにちは、編集長(宅建士)Sです。
第7回は、相続のまとめをしていきたいと思います。
相続は、最近話題になっているので、取っつきやすいのではないでしょうか。
原則を理解していけば、問題なく解答できると思います。
それでは始めましょう。
相続の開始
相続は被相続人の死亡によって開始します(民法882条)。また、相続の開始場所は、被相続人の住所となります(民法883条)。
相続人の種類
第1順位、第2順位、第3順位に分かれます。
第1順位は、子(直系卑属)です(民法887条1項)。相続分は2分の1となります。例えば子が2人いる場合は、各自の相続分は4分の1となります。
第2順位は、直系尊属です(民法889条1項①)。相続分は3分の1となります。例えば、両親が健在であれば、それぞれ、6分の1ずつ相続することになります。
直系尊属とは、自分の父親母親のことを言います。もし父親母親がすでに亡くなっている場合は、1つ遡って、お爺ちゃんお婆ちゃんになります。
第3順位は、兄弟姉妹です(民法889条1項②)。相続分は4分の1となります。
これとは別に、配偶者があります。相続分は①の場合2分の1、②の場合3分の2、③の場合4分の3となります。
つまり、配偶者と第一順位~第三順位の組み合わせとなります。
相続の権利の判断について
被相続人が死亡したときに存在していないと相続人になれません(同時存在の原則)。
例外として、胎児の出生擬制(民法886条)と代襲相続があります。
代襲相続とは、父親が死んだときにその子がすでに死亡していた場合には、その孫が相続人となるというものです。例外になるというのは、子がすでに死亡しているので同時に存在していないのに孫が相続するということで例外になります。
代襲相続がなぜ認められているのか
代襲相続は、相続人となるべきものが相続開始以前に死亡したり、一定の事由により相続権を失ったりした場合に、相続権を失った者に代わって同一順位で相続人となり、相続権を失った者の相続分を承継することを言います。
相続権欠格とは何か?
相続欠格とは、相続人となる一般的資質が認められて居る者が、相続制度の基盤を破壊する行為をした場合に、当事者の意思・意向を問うことなく、法律上当然(自動的)に相続資格をはく奪し、相続権を失わせることを言います。
欠格事由は5つ
欠格事由は以下の5つになります。
①被相続人を故意に殺害又は殺害未遂(民法891条1号)
②殺害を知りつつ告発又は告訴しなかった者(民法891条2号)
③遺言の撤回又は変更を詐欺・強迫により妨げた者(民法891条3号)
④詐欺又は強迫により遺言行為をさせる、撤回させる、変更をさせた者(民法891条4号)
⑤遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿・した者(民法891条5号)
相続人の廃除について
相続人の廃除とは、被相続人の意思により、家庭裁判所が推定相続人の相続資格を奪う制度のことを言います。
では廃除対象者はだれでしょうか?
廃除対象者は、遺留分を有する推定相続人になります。
廃除事由とは(民法892条)
虐待や重大な侮辱、著しい非行だあった場合です。
廃除の方法について
生前排除(民法892条)と遺言廃除(民法893条)があります。
廃除の取消請求について
廃除の取り消し請求は、いつでも可能です(民法894条)
相続は放棄することができます。また、相続は承認することもできます。
相続権を放棄(民法939条)すると、相続自体をすることはありません。相続権を放棄すると、自分だけでなく子供に対しても相続が発生することはありません。相続放棄は、家庭裁判所への申述が必要となります(民法938条)。
また、相続を承認することは、単純承認(民法920条)と限定承認(民法922条)の2種類があります。
単純承認は相続をすべて(財産も債務も)を認めることを言います。限定承認は、被相続人の財産の限度で、被相続人の債務を相続相続するというものです。仮に、被相続人の財産が、被相続人の債務よりも少なければ、少ない分は持ち出しにはなりません。
単純承認を定義すると、無限に被相続人の権利義務を承継することを内容とする相続人の意思表示(民法920条)となります。
また、限定承認を定義すると、相続財産の限度でのみ被相続人の債務・遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認するとの相続人の意思表示(民法922条)となります。
ここで注意すべきこととして、法定単純承認事由があります。
以下の行為をした場合は、法定単純承認として、相続の放棄や限定承認することができなくなります。
①相続財産の処分(民法921条1号)
②熟慮期間経過(3か月)(民法921条2号)
③相続財産の隠匿・消費・不記載(民法921条3号)
相続人がいないの相続財産はどうなるのでしょうか?
相続人がいない相続財産は、相続財産法人(民法951条)となります。そして、相続財産管理人が選任されます(民法952条)。
そして、特別縁故者に相続財産が分与されます(民法958条の3)。
その分与には分与の申し立てが必要とのなります。
特別縁故者は3種類
特別縁故者は以下の3通りの者となります。
①死者と生計を同じくしていた者
②死者の療養看護に努めた者
③その他、死者と特別の縁故があった者
確認事項として、遺産共有についてみておきましょう。
遺産共有とは、複数の相続人が各自の持分に応じて相続財産を共有することを言います(民法898条)。これは相続財産の暫定的な帰属状態となります。
注意すべき点として、共有されない相続財産があることです。
預金債権は相続分として当然に分割されません(判例)。
遺留分とは
遺留分とは、被相続人の財産のなかで、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分に対して制限が加えられている持分割合を言います。
遺留分は、相続順位の①②③の場合のうち③の兄弟姉妹には認められません。直系卑属と直系尊属にのみ認められます。
直系尊属の場合は遺留分は3分の1です。
配偶者・直系卑属は2分の1です。
すなわち、配偶者・直系卑属は全体の2分の1から配偶者と直系卑属で分け合います。この場合は、配偶者が2分の1の更に2分の1でトータル4分の1、直系卑属は、相続分の2分の1の2分の1トータル4分の1を兄弟の人数で等分します。
ざっと見て相続についてはこのようになります。
今回はこのへんで、終わりにします。あと少しで本番ですみなさん体調に気を付けて最後の追い込みを頑張ってください。
この数週間で5問~10問は変わってきます。