宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめ part3

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宅建士試験対策

宅建試験の権利関係で出題される相続分の民法改正まとめ part3

こんにちは、編集長Sです。

令和元年の宅建試験の発表まで一週間を切っていますね。

合格点が気になる方やもう来年に向けて勉強を始めてたかた、それぞれだと思います。

令和2年の宅建試験までは、約10か月です。

短期集中の勉強で合格を狙いたい方はともかく、じっくりと腰を落ち着かせて学習できるのはあと7か月といったところでしょうか。

のころ3か月はできれば復習を中心に何度も学んだことを繰り返すといった事に時間を使いたいですね。

インプットして、アウトプットして、またインプット(この時にアウトプットを思い出しながらの確認)さらにアウトプット、ここまでできればまず合格でしょう。

私は、7月に受験を決めて、そこから3か月の試験勉強でした。

それも、民法は他の試験でほぼできていたので、宅建業法や法令上の制限などに時間を使い合格できました。

何が言いたいのかというと、宅建業法や法令上の制限は2か月程度詰めればどうにカナルということです。

逆に試験前2~3か月の時点で民法に時間を取られないようにしておくことが、気持ちに余裕をもって試験に臨めると思います。

そうはいっても、宅建業法や法令上の制限も覚えることが多いので気持ちの余裕はなくなると思いますが(試験では余裕がないほうが後回しにしないで覚えるのでいいのかもしれません)。

そこで、これから5月か6月あたりまで、じっくりと民法に取り組むことは合格に近づくと思います。

とはいえ、民法は範囲が広いので、勉強のやり方としては、最頻出や頻出の部分を繰り返し学習して、権利関係の部分で10点以上とれるようにしておけば余裕合格できると思います。

ということで、前回の続きで、宅建試験の権利関係で出題される相続分野についての民法改正についてまとめ part3を始めていこうと思います。

今回は遺言(いごん)についての改正について見ていきましょう。

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包括遺贈及び特定遺贈(民法964条)

改正条文です。

(包括遺贈及び特定遺贈)
第964条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

改正以前は民法964条にはただし書きがありました。

今回の改正で、遺留分の制度が遺留分権が行使されることによって、侵害額相当の金銭債権が発生するとなったことにより、削除されました。

つまり、遺留分権の侵害については侵害額相当の金銭で解決することになったので、『ただし、遺留分に関する規定に違反することができない』と規定されていたのですが、金銭解決するのでこの規定の意味が無くなりました。

自筆証書遺言(民法968条)

改正条文です。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

今回の改正で、自筆証書遺言の要件が緩和されました。

何の要件が緩和されたのか?

財産目録が自筆で書かなくてよくなった点です。

もちろん、財産目録以外の部分はきちんと自筆で書かないといけません。

自筆証書遺言に一体として付けられる財産目録(財産一覧)の部分は自筆でなくてもよいとされました。

その代わり、各葉(各ページ)に署名と押印が必要となります。

この署名と押印により本人の意思を証明するものです。

遺贈義務者の引渡義務(民法998条)

改正条文です。

(遺贈義務者の引渡義務)
第998条
遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に当該物又は権利について遺贈の目的として特定した場合にあっては、その特定した時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負う。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

民法998条は全面改正されました。

債権法の贈与の担保責任規定の改正で、贈与者の担保責任は目的物が特定したときの状態で引き渡せばよいことになりました(民法551条1項)。

この改正がどのように遺贈に影響するのかというと、遺贈は無償で目的物を与えるというものです。

ここが無償の贈与と類似しているため、遺贈義務者の担保責任も、無償の贈与の場合と同様に、相続開始のときの状態で引き渡せばよいと改正されました。

さらに、遺贈の目的物は不特定物だけでなく特定物の場合もあるので、遺贈の規定は目的物が不特定物の場合も特定物の場合も適用されることになります。

遺言執行者の任務の開始(民法1007条)

改正条文です。

(遺言執行者の任務の開始)
第1007条
1 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

改正以前の規定は民法1007条には2項ありませんでした。

今回の改正で2項が追加されました。

なぜ追加されたのかというと、改正以前は相続人には遺言執行者が指定されているのかどうかを知る手立てがありませんでした。

というのも、遺言執行者は被相続人が遺言の中で指定するか家庭裁判所によって選任されるもので、相続人には遺言執行者がいることが分からないことが結構ありました。

そこで、2項を新設して遺言執行者が任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければならないと規定されました。

遺言執行者の権利義務(民法1012条)

改正条文です。

(遺言執行者の権利義務)
第1012条
1 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第644条、第645条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。

今回の改正で、遺言執行者は遺言者の利益のために行動することが明記されました(民法1012条1項)。

民法1012条2項は、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者だけが遺贈を履行することができることが明記されました。

もちろん、遺言執行者がいない場合は、相続人が遺贈を執行します。

民法1012条3項について

民法1012条3項は、準用条文について規定されたています。

読んでみると、『第644条、第645条から第647条まで及び第650条』となっています。

『第644条、第645条から』の部分はなぜ第644条からにしていないのか気になると思います。

ここは、今回の改正で民法644条の2(複受任者の選任等)という規定があるので、その規定は含まないことを示しています。

まとめ

宅建試験の権利関係で出題される相続分野についての民法改正まとめ part3はここまでとします。

少し切りが悪いのですが、切りがいいところまで進めると少し長すぎになってしまいどこまで読んだかを探す手間がかかってしまい学習効果を下げそうなので残りは次回に回します。

ここまでの部分は、自筆証書遺言の部分が重要なもので、そのほかは当たり前の条文の削除や条文の数字がずれたものを改正したというもの、判例の条文化といったものです。

それでは、今日はこの辺で終わります。

つづきはこちら

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