宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめ part4

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宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめ part4

こんにちは、編集長Sです。

今回は、宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめpart4ということで解説をしていきたいと思います。

 

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遺言の執行の妨害行為の禁止(1013条)

以下は改正条文です

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第1013条
1.遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2.前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3.前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。

民法1013条は、以前は1項のみでした。

今回の改正で、2項と3項が追加されました。

2項は、1項が禁止している行為が行われた場合の規定です。

1項で禁止している行為がなされた場合に、その行為は無効となります。

そして、善意の第三者に対しては無効であることを対抗できないとして、取引の安全を保護しています。

民法1013条3項について

1項が禁止していることが、相続人が遺言執行者の行為を妨害することを禁止しているのであって、相続人の債権者が行う行為までは禁止していません。

そこで、3項は相続人の債権者は、相続財産について適法に自分の権利を行使できることを規定しました。

特定財産に関する遺言の執行(1014条)

以下は改正条文です。

(特定財産に関する遺言の執行)
第1014条
1 前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

1項は、以前に合った規定そのままです。

2項は、特定財産承継遺言があった場合に、第三者対抗要件を備えるには原則としては、特定財産を相続した者がするのですが、遺言執行者がいる場合には、特定遺贈を相続した者だけでなく遺言執行者も対抗要件を備える行為をすることができるというものです。

3項は、特定財産承継遺言が預金債権の場合についての規定です。

この場合は、対抗要件を備えるだけでなく、預貯金の払戻し等ができるされています。

ただし、他の相続人の相続財産を害することはできないので、預金債権の解約申入れができるのは、全部の預金債権が特定財産承継遺言となっている場合に限っています。

4項は、2項3項と新規定が定めれたのですが、被相続人が遺言で別の意思を表示した場合は、被相続人の意思を優先することを定めています。

遺言執行者の行為の効力(1015条)

以下は改正条文です。

(遺言執行者の行為の効果)
第1015条
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

この規定は、遺言執行者が、遺言執行者であることを示して法律行為を行えばその効果は直接相続人に生じることを明確にしました。

遺言執行者は、遺言者の意思の実現のために行動するもので、このような遺言執行者の立場を明らかにしたものとされています。

遺言執行者の復任権(1016条)

以下は改正条文です。

(遺言執行者の復任権)
第1016条
1 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

民法1016条では、遺言執行者の復任権を規定しています。

遺言執行者は、必ずしも法律の知識を持っている人が選任されるわけではないにもかかわらず、改正前はやむを得ない事由がないと第三者に遺言執行の任務を頼むことはできませんでした。

そこで、今回の改正で、普通の法定代理人の復代理人の選任(民法105条)の規定同様にしました。

つまり、自己の責任で第三者に任務を行わせることができるとしました。

また、ここでも遺言者ば別段の意思表示をした場合には遺言者の意思を尊重してその意思に従うとしています。

2項では、1項で105条の法定代理人の規定と同様に扱うこととなったことに伴い、その責任についても105条の場合と同様に事を規定しています。

遺言執行者の報酬(1018条)

以下は改正条文です。

(遺言執行者の報酬)
第1018条
1 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2 第648条第2項及び第3項並びに第648条の2の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。

民法1018条の改正点は、2項の『並びに第648条の2』の規定が追加されました。

ちなみに、民法648条の2は、受任者の報酬に関して、成果完成型の委任の報酬に関する規定で今回の改正で新設されたものです。

撤回された遺言の効力(1025条)

以下は改正条文です。

(撤回された遺言の効力)
第1025条
前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。

遺言が撤回された場合に、更にその撤回が撤回され、取り消され、効力を生じなくなったときでも、一度撤回された遺言は元の遺言に戻る事にはならないというものです。

そして、ただし書きは、今回の改正で錯誤が取り消しになったことに伴い、詐欺・強迫の場合と同様に遺言を回復させることにされました。

この場合、錯誤が無ければ、詐欺や強迫が無ければ撤回はしなかったといえるので、元の状態を回復することが遺言者の意思を尊重するものだといえるので、遺言を回復することにされています。

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