宅建試験の意思表示分野についての5つの民法改正点まとめ 前半

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宅建士試験対策

宅建試験 意思表示分野について5つの民法改正点についてのまとめ 前半

宅建試験の権利関係で出題される民法も今回の民法改正の影響を受けるのよね?

意思表示分野のはどのような変更があったのかしら気になるわ

こんにちは、編集長Sです。

今回は、宅建試験の権利関係で出題される意思表示分野での民法改正点5つについてまとめていきます。

その前に、90条についても改正があるので少し見ておきましょう。

90条(公序良俗についての改正についての確認)

まず最初に、法律行為の部分で90条の公序良俗の部分で少し改正されています。

それは何かというと、今まで民法90条は次のように規定されていました。

改正前の条文です。
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

今回の改正で、条文の『事項を目的とする』という部分が削除されました。

「へ~そうなんだ」ってどうってことないのでは?と思うかもしれません。

しかし、これが結構重大な変更のです。

今までは、公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為に限定されていました。

これは、たとえば賭けをして負けたので、借金をしてかけ金を支払おうとして、借金を申し込んだとします。

いままでは、借金をするということは、お金を貸す側からしたら金を貸す行為をすることになります。

この金を貸す行為自体は、なんら公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為ではありません。

そのため、無効にならない行為ということになっていました。

しかし、今回の改正せ、この限定が削除されて、上記の例の場合、賭けで負けたかけ金を支払うために金を貸すということで、行為全体をみると「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為」というとになります。

このように、広く公序良俗反する法律行為を対象とするように改正されました。

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意思表示の分野で改正があったところ5点

① 心裡留保(民法93条)

② 錯誤(民法95条)

③ 詐欺又は脅迫(民法96条)

④ 意思表示の効力発生時期等(民法97条)

⑤ 意思表示の受領能力(民法98条の2)

この①~⑤の部分について一部改正や全部改正がありました。

改正点を確認していきましょう。

心裡留保(民法93条)の改正点

改正条文はこちらです。

(心裡留保)
第93条
1 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

・民法93条の文言(もんごん)を少し変えた。

・民法93条2項を追加した。

心裡留保ですが、御存じのとおり「うそをつく」ことです。

この場合、従来どおり、表意者が真意でないことを知っていたときであっても、その意思表示は有効となります。

表意者が一方的に真意でないことを言っている場合は、相手方を保護する必要があるので意思表示は有効となります。

改正されたのは、ただしがきで、相手方が表意者の真意でないことを知っていた場合又は知ることができた場合は意思表示は無効となります。

両方の当事者が真意でないことを分かって意思表示している場合は、その意思表示は無効となるというものです。

民法93条2項について

民法93条2項は、新設されました。

といっても、心裡留保の意思表示を前提どして、新たに法律上の利害関係を有するに事になった第三者を保護する規定を明文化したというものです。

従来は、民法94条や民法96条では第三者保護の規定があるのに93条には第三者保護の規定が無かった点を改めたというものです。

民法93条2項の第三者は善意であればよく無過失であることは必要ないとされいます。

善意=知らない

無過失であることを要しない=うっかりしていた場合でも保護される

このようになるのは、うそをついたほう(心裡留保による法律行為を行ったほう)が悪いのでその分責任が重くなっているというものです。

錯誤(民法95条)の改正点

改正条文です。

(錯誤)
第95条
1.意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

錯誤(民法95条)の条文は全部改正されています。

・動機の錯誤が明文化された。

・錯誤無効ではなく錯誤取消となった。

・錯誤で第三者保護が明文化された。

民法95条1項について

民法95条1項で、錯誤の対象となる場合を明らかにしました。

それは、『表示内容の錯誤』と『動機の錯誤』です。

また、錯誤の効果は『取消』となりました。

というのは、錯誤があれば、以前は無効としていたところを詐欺や強迫と同様に『取消ができる』としたものです。

改正前の錯誤無効としていた場合の問題点として、本来なら無効ということは誰でも主張でき、無効な行為の追認も認められません。

しかし、錯誤無効の場合は、無効を主張できるものを限定したり、無効の主張期間を制限するなどの学説などがあり、取消についての特別な無効を考えなければなりませんでした。

そこで、今回の改正で、錯誤無効ではなく錯誤も取消となると改正したものです。

民法95条2項について

民法95条2項は、1項第2号の動機の錯誤の要件について確立して判例の基準を明文化したものです。

動機の錯誤については、判例は「動機が相手方に明示されること」を要件としています。

今回の改正では、『事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り』となっています。

民法95条3項について

錯誤取消をすることができない場合を規定しています。

錯誤は、表意者を保護するために定められています。

しかし、表意者に重大な過失があった時にまでも保護する必要性がありません

また、ただし書きで例外的に表意者に重大な過失があっても錯誤取消できる場合を定めています。

それは、『相手方が悪意重過失』の場合(民法95条3項1号)と『相手方も同一の錯誤に陥っていた』場合(同条同項2号)です。

このような場合は、相手方の保護の必要性も低いので錯誤取消ができるとされています。

民法95条4項について

民法95条4項で、錯誤取消の第三者保護の定めをしています。

錯誤取消を善意無過失の第三者には主張できないことを定めています。

これでだいたい半分まで来ました。

少し長くなりそうなので、前半はこの辺で終わります。

後半はこちらです。

宅建試験 権利関係で出題される意思表示分野5つの民法改正点まとめ後半

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