宅建試験 権利関係で出題される意思表示分野5つの民法改正点まとめ後半

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宅建士試験対策

宅建試験の権利関係で出題される意思表示分野5つの民法改正点まとめ 後半

こんにちは、編集長Sです。

今回は前回のつづきで、宅建試験の権利関係で出題される意思表示の分野の民法改正につての解説後半です。

宅建試験の権利関係で出題される意思表示の部分の残り3つの点についてです。

早速ですが、解説を始めていきましょう。

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詐欺又は強迫(民法96条)

第96条
1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

民法96条1項について

民法96条1項は、詐欺又は強迫により、意思表示し場合について取消せることができるとしています。

この部分は特に改正はありません。

民法96条2項について

民法96条2項は、第三者による詐欺が行われた場合について定められています。

A(売主)さんとB(買主)さんが土地の売買契約をしたとします。

この場合で、Aさん又はBさんどちらかが、Cさんからあの土地は土壌汚染しているから値下がりするので早く手放したほうがいいとかあの土地の近くに電車の駅が新設されるから今が買い時ですなどと詐欺をうけて契約を締結したという場合を考えてみます。

この場合、条文に従うと、AさんがCさんに騙された場合は、相手方であるBさんがAさんがCさんに騙されて、この契約をしたと知っていた場合や知ることができた場合に限って、意思表示を取り消せます。

この場合では土地の売買契約を取り消すことができます。

どこが改正されたのかというと、今までは、知っていた場合だけ取消すことができました、今回の改正では、知ることができた場合も追加されたのです。

第三者の詐欺で意思表示が取り消せるのは知ってた場合と知ることができた場合ということを押さえてください。

民法96条3項について

民法96条3項は、詐欺取消の場合の第三者との関係を規定しています。

心裡留保や虚偽表示で取り消した場合の第三者には、何が要求されていましたか?

覚えているでしょうか、そうです、第三者には『善意』のみが要求されていました。

何が言いたいかというと、過失があっても保護されていた(意思表示は有効となていた)のです。

ですが、詐欺の場合は、第三者には善意でかつ過失がない(無過失)でなければ保護されません

以前は、無過失は要件に上がっていませんでした。

ではなぜ、第三者に善意の他に無過失という条件が付けくわえられたのでしょうか?

結論から言うと、詐欺による意思表示をした人は騙されているからその意思表示をしているからです。

そのため、心裡留保や虚偽表示をした表意者よりも保護する必要性が高いと考えらたからです。

ちなみに第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、詐欺又は強迫によって形成された法律関係を信頼して新たに法律関係に入った者を指します。ここには単に反射的利益得ている者や取消後の第三者は含まれません。
※この言い回しは定型文化しておりいつものお決まりフレーズとなっています。

意思表示の効力発生時期(民法97条)

改正民法97条

1 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

民法97条は、改正前は隔地者に対する意思表示の効力発生時期として規定されていました。

今回の改正で、隔地者に対するという対象を限定していた部分が削除されました。

より一般的な意思表示の効力発生時期についての規定となりました。

そこで、97条1項は意思表示は、その通知が相手方に到達したときからその効力が生じるとしています。

これが意思表示の効力発生時期の原則となります(到達主義が意思表示の原則となった)。

民法97条2項について

民法97条2項は新設されました。

以前から判例では、意思表示が相手方の支配圏内に置かれていればその時点で到達したとみなすとしていました。

そうすると、相手方が受け取りを拒否したりすると支配圏内に置くことをできないので、いつまでも意思表示は到達しないことになってしまいます。

このような不都合を解消するために、正当な理由なく到達を妨げた場合に通常到達すべきであった時に到達したとみなすとしました。

民法97条3項について

民法97条3項は、表意者が意思表示を発した後に①死亡したり、②意思能力を喪失したり、③行為能力の制限を受けた場合の効力を定めています。

結論から言うと、上記の3つの場合についてもその意思表示は効力を妨げられません。

つまり、意思表示はその内容のまま有効となります。

ここでのポイントは、意思表示の発信後に意思能力の喪失をしても意思表示の効力に影響を与えないということを示しています。

意思表示の受領能力(民法98条の2)

(意思表示の受領能力)
第98条の2
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
一 相手方の法定代理人
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方

改正された民法98条の2は、制限行為能力者についても未成年者と成年被後見人と同様に保護することを規定しました。

以前は、制限行為能力者のうち未成年者と成年被後見人だけ意思表示の受領能力がないと定めていました。

しかし、他の制限行為能力者特別する必要性が特にないので、保護の範囲を広げたものです。

また、意思表示の相手方の法定代理人が意思表示を知った後は対抗できます。

さらに、意思能力を回復した場合や行為能力者となった場合についても同様です。

この規定からはいえることは、制限行為能力者や未成年者、成年被後見人にたいしては、法定代理人に対して意思表示をしましょう。

意思能力を回復したとは、具体的には病気で判断能力がなくたっていたがそれが回復した場合などです。

行為効力者となった場合の具体例は、未成年者が成年に達した場合などです。

まとめ

宅建試験の権利関係で出題される意思表示分野の5つの改正点は以上となります。

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