宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめ part5

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宅建士試験対策

宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめ part5

こんにちは、編集長Sです。

今回も前回のつづきで、宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめの5回目です。

新たに規定された配偶者居住権について見ていきます。

少し長くなるので、まず配偶者居住権と配偶者短期居住権があることを区別してください。

今回は配偶者居住権のほうを見ていきます、これも少し分量が多いので2回に分けてみていきます。

 

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配偶者居住権(民法1028条)

改正条文です。

(配偶者居住権)
第1028条
1 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

配偶者居住権は、遺産となる建物の価値を、居住権と所有権に分けて居住権だけを配偶者居住権として規定しています。

これは、分かりやすい具体例として、再婚相手が被相続人で、相続人が配偶者と再婚相手の子であった場合に、相続人と子の仲が悪いといったことが起こります。

この場合に、遺産分割で配偶者が建物の所有権を取得できないと、居住権を確保できなくなり、今住んでいる家を出ていかなければならなくなります。

このようなことを回避するために、配偶者居住権を規定することになりました。

要件としては、前提として、被相続人の財産に属した建物に相続開始時に居住していること

遺産分割で配偶者が居住権を取得するか、②配偶者居住権が遺贈の目的とされている、ことが必要となります。

注意点としては、建物についての話です。

民法1028条2項について

民法1028条2項は、一読すると何を言っているのか分からないと思います。

私は、へーそうなんだ程度で読み流していました。

しかし、結構重要なことが規定されていることを知って、ビックリしました。

どの様な場合を想定しているのかというと、AとBが婚姻関係にあり子としてCがいる場合を考えます。

そして、甲建物に住んでいるとします。

Aが死亡してBとCが相続し、Bが配偶者居住権を甲建物に有することになったとします。

そこで、今度はCが無くなる場合を考えます。

ここで、Cには配偶者Dがいるとします。

そうするとCの相続人は配偶者Dと尊属であるBとなります。

この場合、Cが相続した甲建物の所有権はDとBの共有となります。

このような場合に、Bの配偶者居住権は消滅するのでしょうか?

消滅しないということを規定しています。

説明すると結構長くなるのですが、条文では短く規定されていて読み流してしまう感じがします。

気を付けてください。

審判による配偶者居住権の取得(民法1029条)

改正条文です。

(審判による配偶者居住権の取得)
第1029条
遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

民法1029条の規定は、家庭裁判所に遺産分割の審判を請求した場合に配偶者居住権をどのような場合に認めるかの規定です。

1号は、共同相続人の全員の同意がある場合は争いなく認められることになるのは問題ないと思います。

2号は、配偶者が配偶者居住権を希望しているのに他の共同相続人が認めない場合に、居住建物の所有権者と配偶者の生活を考慮して特に必要があるという場合には配偶者居住権を認めることができるとしています。

特に必要がある場合が実際には何を指すのかについては今後の判断を見ないといけないと思います。

配偶者居住権の存続期間(民法1030条)

改正条文です。

(配偶者居住権の存続期間)
第1030条
配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。

配偶者居住権は配偶者の終身の間存続します。

終身とは、死ぬまでのことです。

このように明文で定めた置くことにより、今後の争いを無くす目的があります。

もっとも、配偶者の生活を考慮して規定された事情を考えると当たり前のことを規定しているようにも思えます。

ただし、遺産分割や遺言や家庭裁判所の審判において期間を定めることも可能です。

配偶者居住権の登記等(民法1031条)

改正条文です。

(配偶者居住権の登記等)
第1031条
1 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第605条の規定は配偶者居住権について、第605条の4の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。

民法1031条は、配偶者居住権は登記しないと第三者に対抗できないので、建物所有権者に配偶者居住権の登記を備えることについて協力しなければならないことを規定しています。

このことから、配偶者居住権は賃貸借とは異なるものと言えます。

押さえておくポイントは、配偶者居住権は登記をしないと第三者に対抗できないということです。

必ず、登記をしましょう。

建物取引としては、登記を確認して配偶者居住権が付いていないことを確認しないといけないということです。

民法1031条2項は、登記された配偶者居住権は、その後に不動産に物権を取得した第三者に対抗できること。

さらに、配偶者居住権のついて建物が第三者に占有された場合や利用を妨害された場合に、返還請求や妨害排除請求ができることを規定しています。

まとめ

今回は、宅建試験の権利関係で出題される相続分野の民法改正まとめpart5として、配偶者居住権についてとその期間についてまた第三者対抗要件について見てきました。

しっかりと押さえておきましょう。

今回はこれで終わります。

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