宅建 権利関係 第12回 債務不履行等のまとめ 2019
こんにちは、編集長(宅建士)Sです。
今回は民法(権利関係)第12回目として債務不履行のまとめをやっていきます。場合によては、損害賠償や解除も確認してきます。
試験を意識して必要な範囲で確認をしていきましょう。
債務不履行(民法412条)
債務不履行の分類
①履行遅滞
履行遅滞とは、債務の履行時期にそれが可能であるのに債務者が債務を履行しないことを言います。
②履行不能
履行不能とは、履行が不能となることを言います。
③不完全履行
不完全履行とは、債務者が正当な理由がないのに債務の本旨に従った履行をしないことを言います。
履行遅滞について
履行遅滞に基づく損害賠償の要件
①債務の存在、②履行が可能であること、③履行の提供をしないこと、④履行をしないことが違法であること、⑤帰責事由
履行不能について
履行不能に基づく損害賠償の要件
①債務が損害したこと、②履行が不能であること(物理的不能・法律的不能)、③履行不能の違法性、④帰責事由
注意点
履行遅滞も履行不能も「債務者の責めに帰すべき事由」=帰責事由が必要になります。
帰責事由がない場合は危険負担の問題となります。
損害賠償
損害とは、債務不履行がなければ債権者が置かれていたであろう状態と、債務不履行があったために債権者が置かれている状態との差を金額であらわしたものを言います。
損害は原則金銭で賠償することになります。
損賠賠償の予定・違約金
損害賠償の予定(民法420条)とは、契約の当事者が債務不履行があったらいくら支払うかを事前に約束しておくことをいいます。
効果
損害賠償の予定をしておくと、実害が無い場合でも予定額がもらえる。ただし、実害が予定額よりも多くても予定額しかもらえない。ということになります。
金銭債務の不履行の特則(民法419条)
金銭債務は、原則不履行というものが考えられないので特別の規定が設けられています。
損害額の算定については、法定利率になります。ただし、約定利率が法定利率を超える場合は、約定利率によります。
損害の証明については、債権者は証明は必要としません。
不可抗力の主張は、債務者はできません。
解除(540条以下)
債権者が債務者の債務不履行を理由として、債務者に対する一方的意思表示によって契約を終了させることを言います(民法540条1項)。
履行遅滞を理由とする解除の要件として、原則は『催告』と『相当期間の経過』が必要です。
定期行為の場合は、催告は不要となります。
履行不能を理由とする解除(民法543条)
履行不能の場合は、履行遅滞と異なり、催告は不要で直ちに解除できます。
解除の注意点
解除は撤回することができません(民法540条)
解除の効果は契約締結時に遡って無効となります(直接効果説)。このことから、金銭を返還する場合の利息は、金銭の受領時からつけることになります。
当事者が複数いる場合はどうなるのか(民法544条)
当事者の一方が数人いる場合は、解除の意思表示は全員からまたは全員に対してしなければなりません。
だいたい、宅建士試験に出そうなところはこんな感じだと思います。
ここで扱ったも以外は、過去問を確認して、対応できるようにしておくといいでしょう。