宅建試験の過去問の解き方実戦対策(権利関係)第4回 借地借家法 平成26年 問12
こんにちは、編集長Sです。
今回も前回に引き続き過去問の実戦的な解き方について見ていきたいと思います。
今回取り上げるのは、借地借家法についてです。
借地借家法は宅建試験において頻出の分野ですのでしっかりと押さえておいてください。
宅建試験の平成26年 問12
まずは、問題を見てみましょう。
一般財団法人 不動産適正取引推進機構より引用
問題文はこのようになっています。
この問題で特徴的なのは、問題文の中に借地借家法第38条の定期建物賃貸借についの問題ということが明記されている点です。
このように、条文番号まで指定されてい出題されている物は、条文を確認しておかなければなりません。
借地借家法38条
ちなみに条文は次のようになっています。
(定期建物賃貸借)
第38条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。
6 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。(建物賃貸借の期間)
第29条 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
出題形式と必要な知識が確認出来たら次にすることは、この問題は〇を選ぶのか×を選ぶのかの確認です。
宅建試験平成26年問12では、誤っているのはどれかというものなので×の選択肢はどれかを検討していくことになります。
選択肢の検討
選択肢は短いものから検討してくことをこの記事ではおすすめしています。
そこで、平成26年問12では、選択肢1、2、3、4、の順で選択肢の文が長くなっているので、このままの順序で検討していくことになります。
平成26年問12 選択肢1
選択肢1は次のようになっています。
選択肢1 定期建物賃貸借契約を締結するには、公正証書による等書面によらなければならない。
この選択肢は、基本中の基本、定期建物賃貸借契約を締結に関するところを聞いています。
公正証書による等書面によらなければ、定期建物賃貸借契約を締結することができません(借地借家法38条1項)。
ここは、迷わずに〇と判断しできるようにしてください。
平成26年問12 選択肢2
選択肢2は次のようになっています。
選択肢2 定期建物賃貸借契約を締結するときは、期間を1年未満としても、期間の定めがない建物の賃貸借契約とはみなされない。
この問題は、期間の定めについての扱いを聞いています。
原則としては、期間の定めを1年未満とする建物の賃貸借は期間の定めのない建物賃貸借とみなされます(借地借家法29条1項)。
ですが、定期建物賃貸借契約の場合はこれが排除されています(借地借家法38条1項)。
ということで、期間を1年未満としても、期間の定めのない建物賃貸借契約とはみなされません。
したがって、この選択肢2は〇の選択肢となります。
平成26年問12 選択肢3
選択肢3は次のようになっています。
選択肢3 定期建物賃貸借契約を締結するには、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを、当該契約書と同じ書面内に記載して説明すれば足りる。
選択肢3で問われているのは、契約書と同じ書面内に契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを記載しないといけないかについて問うています。
この問題は、判例の判断を聞いているものなのですが、平成26年出題されたときは多くの受験生が知らない知識です。
現在では、すでに過去問で出題されているので契約書と契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを記載した書面は別々のものでなければけないとの知識は必須のものとなっています。
このように、この選択肢3は、宅建試験出題当時は△として次の選択肢を検討する問題であったと考えられます。
そこで、選択肢3は△として答えを保留して次の選択肢の検討に入りたいと思います。
平成26年問12 選択肢4
選択肢4は次のようになっています。
選択肢4 定期建物賃貸借契約を締結しようとする場合、賃貸人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを説明しなかったときは、契約の更新がない旨の定めは無効となる。
この選択肢は、契約に更新がなく、期間の満了によって終了することを説明しなかったときの、契約の扱いについて問うています。
このように、契約の更新がない旨を説明しなかった場合は、契約の更新のない旨の契約は無効となります(借地借家法38条3項)。
ちなみに、正確には書面を交付して説明しなかった場合に契約の更新のない旨の契約は無効となります。
ですが、この問題では書面の交付については問題文にありません。
そこで、この問題も×なのではないかとも考えてしまいがちです。
ですが、書面を交付する以前に説明をしていなかったのですから、書面を問題とするまでもなく、契約の更新のない旨の契約は無効となります。
ということで、この選択肢4は〇の選択肢となります。
したがって、1,2,4が〇の選択肢、3が△の選択肢となり、答えは、選択肢3ということになります。
まとめ
このように、条文をそのまま問題として出題して、条文の理解を聞くという出題があります。
一度でもこのような出題がなされた条文は必ず確認しておくと、自信をもって解答できることになるので、チェックしておくことをお勧めします。
ちなみに、借地借家法38条は同様な出題が平成20年問14でなされています。
こちらのほうも併せて確認しておくと、借地借家法38条に関しては取りこぼしなく得点できるようになると思います。
問題文だけ挙げておきます。
一般財団法人 不動産適正取引推進機構HPより
今回はこの辺で終わります。