宅建 権利関係 第1回 賃貸借契約と借地借家法のまとめ
こんにちは、編集長(宅建士)Sです。
2019年の宅建試験も近づいて参りました。
先日、掲載した『宅建試験までの過ごし方』や『法令上の制限あと1点(ブログの表題を変えました)』に引き続き第三弾めです。
今回は頻出の個所を復習しつつ、少し踏み込んだ解説をしていきたいと思います。
権利関係あと1点といっても、権利関係の部分は範囲が広いので、コンパクトにまとめて行きたいと思いますが、全何回になるかは未定です。
とりあえず、今回は第1回目ということで賃貸借契約と借地借家法のまとめです。
民法(権利関係)
残り時間が限られている以上、民法(権利関係)(以下「民法」とします)何点取る必要があるかを確認しておきましょう。
民法の出題数は、14問です。理想を言えば9点は取りたいところですね。
ですが、各自の得点を稼ぐ戦略があると思います。例えば、民法以外で得点する戦略や民法で稼ぐといった戦略といろいろとあるでしょう。
そこで、ここでは、一通り勉強した人向けに1~3点程度上澄みできるような解説をしていきたいと思います。
頻出問題について
皆さんは、出題頻度について過去問をチェックしていますか?
していないとしたら直ぐにチェックしてください。
過去5年の出題をチェックすると第11問第12問で賃貸借契約と借地借家法の出題となっています。
他にも、頻出分野が沢山ありますね。ここでは、民法のすべてを網羅すのではなく、出題頻度準で扱います。
民法1回目の今回は、民法と借地借家法の部分2点を取りに行きましょう。
民法と借地借家法
民法と借地借家法の関係
民法と借地借家法の関係は、一般法と特別法の関係にあります。
一般法が民法で、特別法が借地借家法です。だから何?と思いでしょうが、法律上は、特別法のほうが一般法に優先して適用されるというルールがあります。
というわけで、民法の規定よりも、借地借家法の規定が優先して適用されるということです。
民法の賃貸借契約の規定は、第601条~第621条までに規定されています。
一度読んでおいたほうが絶対にいいです。すでに、学習が進んでいる方の場合は、数分で読めると思います。これにより、過去問の習熟度が確認できます、条文を読んでどこが問われていたかを思い出すのも十分に試験対策になります。
用語の確認をしておきましょう。
「必要費」
必要費とは、要は、賃貸借の目的物を賃貸借に適するようにするために使う費用ということです。
賃貸借は、相手方に物の使用収益をさせることを契約し、その使用収益の対価として賃料を支払うものです(民法601条)。
ですから、使用収益できる状態をきちんと保つことは貸主の義務ということになります。
そのため、必要費は貸主が出すことになります。
「直ちに」「全額」を賃貸人に請求できます。
「有益費」
有益費は、必要費とは異なり、収益できる状態を超えて物の効用や価値を増す費用のことを言います。
「契約終了後」「費用全額又は価値の増加分」を請求できます。また、費用全額を支払うか、価値の増加分を支払うかは賃貸人決めることになります。
後は、条文そのままですね。だらかこそ、条文を読んでおくことが重要になります。
借地借家法について
先ほど書いたように土地や建物の賃貸借契約の場合は、民法よりも借地借家法が適用されるので、こちらのほうが重要となります。
借地借家法は、第1条~第60条まであります。必要となるのは、第1条~第40条までです。必要な個所を読んでおきましょう。
第1条に借地借家法の目的、第2条に条文を理解する上での用のの定義が書いてあります。
ここでまず確認しないといけないのは「借地」の話をしているのか「借家」の話をしているのかをしっかりと区別してください。
「借地権」とは
建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう(借地借家法第2条)
「地上権」と「賃借権」の違いについて
端的にいうと、地上権は「物権」であり、賃借権は「債権」です。
物権は、すべての人に対して主張できます。したがって、第三者にも主張できます。
債権は、契約の相手方に対してのみ権利主張できます。
この区別をしっかりとしておかないと、問題を解くときに得点が安定しない原因となります。
具体的には、借地権の譲渡・転貸の時に借地権設定者の同意が必要な場合と不要な場合に違いが出てきます。
借地権が「地上権」の場合は、「物権」であるので、「すべての人に主張できる」ので、「承諾は不要」となります。
借地権が「賃借権」の場合は、「債権」であるので、「契約当事者の合意が必要」となり、「承諾が必要」となります。
しっかりと区別してください。
「借家権」とは
借家権の場合は、借地権との区別が重要です。
借家権の場合は建物の賃貸借しかありません。つまり、債権だけの話となるので、譲渡・転貸の場合は常に「承諾が必要」となります。
借家権の場合は、「貸主と借主の対比」と「契約の存続期間」が問題になります。
貸主と借主の対比
考え方としては、貸主はもともとつよい権利を持っているので保護されない方向性です。
他方で、借主は立場が弱いので常に保護される方向性です。
契約の存続期間の場合
これは、暗記できましょう。直前に書き出して対応でもいいと思います。
まとめ
条文を読んで、どこが問われているかをチェックすることで、過去問の習熟度の確認ができる。これはぜひやってもらいたいことです。
覚えることから、思い出すことを中心にしていくことで、自分の今できることがはっきりすると思います。
今日はこの辺で、みなさん頑張ってください。
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