宅建 権利関係 第11回 時効のまとめ 2019
こんにちは、編集長(宅建士)Sです。
11回まで来ましたね、今回は時効のまとめをしていこうと思います。
宅建士試験直前対策として試験前日まで毎日更新していく予定です(試験日前に主要な点は終わるように調整していきます)。
それでは始めましょう。
時効とは(民法第144条~第147条の2)
時効制度は、『継続的事実状態の保護』と『立証困難の回避』更には、『権利の上に眠る者は保護に値しない』といった理由により認めらています。
時効が認められるとどうなるのか
時効の起算日に遡って権利を取得します。他方で、もとの権利者は権利を失います(民法144条)
自己の種類はなにがあるのか
取得時効と消滅時効があります。
取得時効とは、時効の要件を満たすと、権利を取得する時効のことです。
消滅時効とは、時効の要件を満たすと、権利が権利が消滅することです。
時効は援用しないと効果を生じない!!
援用とは、時効の利益を受ける意思の表明のことです。
これがないと時効期間が経過していても、時効の効力は発生しません。注意してください。
時効の援用をすることができる人はどんな人?
時効の援用権者は、『時効により直接利益を受ける者』(当事者(民法145条))です。
具体的には、保証人、物上保証人、担保物権の第三取得者、詐害行為取消権の受益者、などです。
他方で、一般債権者や抵当不動産の後順位抵当権者は時効の援用権者にはなりません。
ではどのように援用権者を判断するのでしょうか、「時効により直接利益をうけるものとは、時効の援用により権利を取得したまは義務を免れる者」となります。
時効の援用により権利を取得したまたは義務を免れる者は、他の援用権者の権利義務を変動させずに、当該援用権者の権利義務のみが変動したと扱うことができるものです。
時効利益の放棄・援用権の喪失・時効の中断
時効利益の放棄(民法146条)は、時効完成前の時効利益の放棄は禁止されています。
消滅時効完成後の自認行為は時効援用権を喪失します。
自認行為は、時効の利益を受ける権利についてその権利を認めることであり、時効の援用をしないという相手型の信頼の保護や矛盾行為を禁止するものです。
時効の中断は、時効の中断事由(民法147条以下)があること。
時効の中断が起こると、今まで続いていた時効期間は消滅します。そして、また時効期間はゼロから再度進行していきます(民法157条1項)。
時効利益の放棄と援用権の喪失の違いは何か
時効利益の放棄は意思表示です。放棄により法律効果を発生させようとする意思が必要となります。ということなので、時効が完成していて、履行の利益を放棄すると、時効の効果を受けられなくなることを知っていなければなりません。
援用権の喪失は、時効完成を知らずに自認行為をした場合です。
その他に、時効の停止というものがあります。
これは民法158条~161条までに規定されています。
さっくりというと、いろいろごたごたがあるので、権利主張できないので、ごたごたの区切りがついてから、6か月間は時効は停止することになります(災害の時は2週間です)。
時効の効力はだれに対して効力があるのでしょうか?
時効の援用は援用権を行使するかどうかは、個人に任されているので、時効権利者が複数人いる場合にはそれぞれ個別に効果が発生します(援用の相対効)。
時効の放棄や中断も同様です(放棄の相対効、中断の相対効)。
取得時効について(民法162条・163条)
取得時効は、所有権の取得時効と所有権以外の取得時効に区別されます。さらにそれぞれに短期取得時効と長期取得時効があります。
所有権の取得時効の要件(民法162条)
所有権の取得時効の要件は以下の通りです。
①一定期間の占有の継続(悪意有過失の場合が長期取得時効民法162条1項で、善意無過失の場合が短期取得時効民法162条2項)
②所有の意思
③平穏かつ公然
所有権以外の取得時効の要件(民法163条)
所有権以外の取得時効の要件は以下の通りです。
①一定期間の権利の行使の継続
②自己のためにする意思
③平穏かつ公然
所有権以外の権利とは地上権や賃借権などを指します。
注意点:地役権の特則(民法283条)地役権の場合は外形上認識できるものになっていなけれななりません。
取得時効の注意点として、判例では、自己の物にていしても時効取得は認められています。
消滅時効について(民法166条)
消滅時効の対象の権利
消滅時効はすべての権利に対して効力が生じるものではありません。
次の3つについては消滅時効は生じません。
①所有権、②物権的請求権・相隣関係上の権利、③担保物権
消滅時効の要件(民法166条1項)
①権利を行使することができる時
②所定の時間の経過
①の権利を行使することができる時とは、権利を行使するのに法的障害がなくなった時点です。
②の所定の時間の経過は以下の期間となります。
債権(民法167条1項):10年間
債権と所有権以外の財産権(民法167条2項):20年間
短期消滅時効(民法169条~174条):1年間、2年間、3年間、5年間と法定されています。各自で確認してください。
確定判決により確定した権利(民法174条の2第1項)
原則:10年間 例外:確定判決の時に弁済期が到来していない債権については適用しない
時効についての確認はこのへんで大丈夫だと思います。
過去問の確認と判断ポイントの確認をしっかりとして得点を安定させてください。
ではまた明日。