宅建 権利関係 第9回 抵当権のまとめ 2019

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宅建 権利関係 第9回 抵当権のまとめ 2019

こんにちは、編集長(宅建士)Sです。

今日は、抵当権のまとめをしていきたいと思います。

抵当権も詳しく見ていけばかなりの量になるので、コンパクトにまとめていきたいと思います。多少解説等が正確性を欠くことになってもわかり易さ優先で行きたいと思います。

それでは、始めましょう。

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抵当権とは(民法396条)

抵当権は、債務者または第三者から特定の不動産を担保にとり、被担保債権が弁済されない場合にはその不動産の交換価値から他の債権者に優先して自己の債権の満足を受けることができる物権です。

抵当権の性質

抵当権の性質として、非占有担保である、目的物の交換価値を把握することが上げられます。

非占有担保であるとは、自分でものをを占有(手元に置いておかなくてもいい、自分がその場にいなくてもいい)していなくてもよいというものです。

抵当権の順位について

抵当権の順位は、登記の前後で優劣が決定します(民法373条)。

抵当権の順位を変更できますが、その効力を発生させるためには登記が必要となります(民法374条)。

抵当権の対象

では、抵当権の対象となるものや権利はどういうものがあるのでしょうか?

不動産(民法369条1項)と地上権・永小作権(民法369条2項)です。

永小作権とは、小作料を払って、他人の土地において耕作又は牧畜をする権利のことを言います。

抵当権の効力の及ぶ範囲

抵当権の効力の及ぶ範囲は次のようになります。

付加一体物に及ぶ(民法370条)

分離物・搬出物これは抵当権の目的物から搬出されると効力は及ばなくなります。

果実(担保する債権に不履行があった場合に及びます。それまでは及びません)

物上代位で価値代替物にまで及びます。

付加一体物について

付加一体物に抵当権が及ぶのは、抵当不動産とその付加一体物とが一体となって抵当不動産の担保価値を構成していると考えられるからです。

不動産への符合があれば、符合した物の所有権は原則として当該抵当不動産の所有権に吸収されるので、符合物は当然に(自動的に)抵当権の効力が及ぶことになります。

では、不動産の従物は、同一所有者に属するとはいえ、あまでも不動産とは別のものであるため、どういうものが付加一体物となるのでしょうか?

判例は、設定時に存する従物については、民法87条2項により抵当権の効力が及ぶとしています。

分離物・搬出物について

これは、設定者の権限に基づいて抵当不動産を利用している場合にどこまで、抵当権の効力が及ぶのかという問題です。

設定者の権限に基づく使用収益行為として分離・搬出がされた場合には、その使用収益が通常の範囲にとどまる限りは、分離とともに抵当権の効力が及ばなくなります。

また、通常の使用収益の範囲を超えたとしても、分離されたにとどまる場合には、なお抵当権の効力が及ぶとされます。

物上代位とは

抵当権の目的物の交換価値の優先的支配が、目的物の価値代替物にも及ぶというものです。

法定地上権

法定地上権はなぜ認められるのか

法定地上権の制度はなぜできたのでしょうか?

抵当権が実行されたときに、土地と建物が別々の所有者のものとなった場合、土地の所有者は、建物の所有者に対して建物をどかして又は壊して、土地から出ていけというでしょう。そうすると、建物を買った意味がなくなります。そういった建物の除去による社会全体の経済的損失を回避するために法定地上権はできました。

また、抵当権者としても、土地と建物を抵当権の目的として抵当権を設定しても、抵当権を実行して、土地と建物が別々の所有者のものとなった場合に、建物を除去しなくてはいけないというのでは、抵当権の担保としての機能は減少してしまいます。

なぜなら、どうせ壊される建物を誰が買うのかということです。

そういうことで、抵当権者による建物存続を前提とした担保価値評価を考慮するという点も法定地上権の制度として見逃せないところです。

法定地上権の成立要件4つ(民法388条)

①抵当権設定当時、土地の上に建物が存在すること

②抵当権設定当時、土地と建物が同一の所有に属すること

③土地・建物の一方または双方に抵当権が設定されること

④一方の抵当権が実行されてことにより土地と建物の所有者を異にしたこと

ちなみに、更地に抵当権設定後、建物が建築された場合は、法定地上権は成立しません。これは、抵当権者は更地を前提として担保価値を計算して抵当権を設定しているからです。

また、①が要求されるのは、土地と建物の所有者が別々であると建物所有者は、抵当権設定よりも前に、建物存続のために約定利用権(土地の利用契約)の設定をすることができるので、法定地上権を成立させる必要がないということです。

自分の土地と建物について、自分で建物の利用目的に自分で契約をしている人はいないでしょう。

ポイントしては、抵当権設定時を基準に考えるということです。

注意点

注意点として押さえておいてほしいのは以下の3つです。

①抵当権設定時に土地・建物は別々の所有権者であった、設定後同一人の所有となった場合、原則から行くと地上権は成立しません。

ですが、同一人の所有となった後に後順位(第2順位、第3順位など)の抵当権が設定された場合については、別々の所有者の時に設定された抵当権がすべて消滅した場合には法定地上権は成立します。

②土地を共有していて、建物が単独所有の場合

この場合には、法定地上権は成立しません。土地が共有だから土地と建物は同一人所有ではないと言えばそうでしょう。

ですが、土地が共有であれば、土地の一方の所有者は、建物所有者との間に土地の利用権を設定しておくことができたと考えれば混乱しなくなります。

③土地が単独所有で、建物が共有の場合

この場合は、一見②の場合と同様に法定地上権は成立しないように思えます。

ですが、法定地上権は成立するのです。この考え方としては、建物所有者の権利保護ということです。建物を存続させたほうが経済的観点からみて社会全体の利益になるというものです。さらには、土地の所有者は、建物を共有で建てた時点で、あらかじめ地上権が成立することを認容していたとみることができるからです。

今日はこのへんで終わります。

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